院長ブログ

2017.02.05

熱のないインフルエンザ

私が最後にインフルエンザに罹ったのは高校2年の時で、その頃は検査もなくて、

高熱と倦怠感でそのように診断されていたように思います。

何故覚えているかというと、痛みを伴う咳がひどく血痰も出て、

熱を測ると39.2℃(いまだに最高)だったので当時17歳の私は

「ああ、これで私も死ぬんだな」と布団で泣いていた記憶があるからです。

2,3日をピークに血痰も黄色になり、39度台の熱も徐々に下がり、

1週間くらいで学校に戻れたました。抗インフルエンザ薬もない時代の自然な経過です。

おおよそ100年前に世界中で流行したスペイン風邪と呼ばれているインフルエンザでは

2000万人が亡くなったと言われています。病原性が高いタイプだと怖い病気には変わりないです。

ところがです、今シーズン当院では今のところ3人の発熱がないインフルエンザの患者さんを診察しました。

どの方も家族がインフルエンザに罹っていて、熱はないけどだるい。熱はないけど咳が出る。

といった症状だったので、検査して判明しました。

インフルエンザ感染ってこんな軽症になってきているのか!?と驚きました。

そこで、ウイルスの立場で考えてみました。生物の勝ち負けってどれだけ遺伝子を残すかなので、

生物学的にはビックダディ(実子10人?)は勝ち組です。

ウイルスが増えるには次々感染しなければならないので、

人をうなりながら布団に寝ている状態にするよりも

ケホケホ咳しながら動いてくれる状態にする方が都合がいいはずです。

実際に梅毒という病気では皮膚に現れる発疹が軽くなっているという。

菌にしてみれば発疹が目だって異性の魅力が目減りしてしまうと、

新しい人間に感染しにくくなるので、戦略として病気を軽くしているそうだ。

ここ数年、梅毒患者さんが急増している背景にはこんな菌の進化があるのかもしれない。

毎年流行するインフルエンザウイルスが高い原性を持つように進化するのか?

それとも軽い病原性で人間と共存の方向に向かうのか?

毎年、病院で定点観測させていただこう。