院長ブログ
2026.11.07
涙のルーツ
原始の魚は今の魚のようなエラぶたが無く、エラの孔=鰓孔(さいこう)が剝き出しになっていた。今に生きるヤツメウナギがイメージしやすい。

ヤツメウナギは原始の魚に近く7対の鰓孔をもっている。(AI作成)
ヤツメウナギは原始の魚に近く7対の鰓孔をもっている。(AI作成)
各鰓孔には孔を形作る骨とそれを動かす筋肉があり、まとめてを鰓弓(さいきゅう)と名付け、それぞれの鰓弓をそれぞれの神経が支配していた。
進化は腕の良い大工さんのように古い生物を改築増築して新しい生物を作っていく。まず頭に近い鰓弓から顎(あご)を作った。顎ができると、口から入ってくる水からの栄養だけだったのが、水の中の小さな生物を吸い込んで食べるだけでなく、獲物を捕らえ、噛み砕いて食べることができるようになった。原始の魚の鰓弓は、顎という骨、食べ物を咀嚼する筋肉とそれを動かす三叉神経として私たちの身体に残っている。(三叉神経は顔や頭の知覚も担当する)
水から陸に上がるようになると、エラ呼吸から肺呼吸になるので、エラは用が無くなる。腕利きの大工は次の鰓弓を顔周りの改築に充てることにした。まず水の音から空気中の音を聴くようにボディを変えなければならなかったから、鰓孔を音が入ってくる穴に作り替えた。私たちの耳の穴は原始の海で泳いでいた魚の鰓孔の名残だ。そして顎ができたからには咬むことができるので、食べ物を扱うため発達していった顔の筋肉を表情筋に作り替えた。鰓弓の骨はもう顎もあるし、どうしたものかと悩んだ結果、音を伝える三つの耳小骨の一つアブミ骨になった。ちなみに残り二つのツチ骨・キヌタ骨は顎の骨の派生だ。この3つの骨は鼓膜を揺さぶる音の振動を内耳に伝える役割を持つ。耳が悪くなったベートーベンはピアノに棒を付け、それを噛んで顎の骨で音を聴いていたというから、彼は進化を知っていたのかもしれない。
そして2つ目の鰓弓、顔周りを担当している神経を顔面神経という。表情筋を動かす神経として12個ある脳神経の中では認知度が高めだが、今回は知られていない顔面神経の話をしてみたい。脳幹から出た顔面神経が顔の表面に出るまでは少し距離があるので、まず涙腺に繋げ涙の分泌を調節させた。涙は頭のずっと奥の方からやって来る、解剖的には。きっと眼を守るための涙と瞼を閉じる動きが一緒なほうが便利だろうと進化は考えたのだろう。
眼を守る以上に涙があふれる情動の涙は人間に特有のものだ。近縁のチンパンジーにも見られない。彼らに情動がないわけではなく、心が動いたときに眼から涙があふれる回路がないだけだ。
泣くことは他のどの表情よりも、他人に共感や助けたい衝動を引き起こすらしい。エレファントカシマシの曲「笑顔の未来へ」は、まさに涙を見せられた人の気持ちを歌ってる。♪涙のテロリストは手に負えない~♪ここに進化的なメリットがあったのではないだろうか?涙を流せた類人猿は周りからサポートを受けて、子孫を残しやすかった。きっと、700万年前くらいの類人猿の家族には双子の姉妹がいて、よく泣く方がヒトになり、泣かない方がチンパンジーになったのでは?と想像してしまう。
現実的なメリットは泣くことはストレス発散になる。顔面神経が振ったタクトで涙が頬を伝う時は副交感神経が優位になっている。泣いた後、すっきりした経験は多くの人にあるのではないだろうか。
今日は休日、久しぶりに過去一度も泣かずに見終わったことがない「ツッパリ生徒と泣き虫先生」のDVDを見てみようか。ラストシーンでは私はむせび泣くだろう。やっぱり、涙は心のずっと奥の方からやって来る。(「情熱の薔薇」より)
眼を守る以上に涙があふれる情動の涙は人間に特有のものだ。近縁のチンパンジーにも見られない。彼らに情動がないわけではなく、心が動いたときに眼から涙があふれる回路がないだけだ。
泣くことは他のどの表情よりも、他人に共感や助けたい衝動を引き起こすらしい。エレファントカシマシの曲「笑顔の未来へ」は、まさに涙を見せられた人の気持ちを歌ってる。♪涙のテロリストは手に負えない~♪ここに進化的なメリットがあったのではないだろうか?涙を流せた類人猿は周りからサポートを受けて、子孫を残しやすかった。きっと、700万年前くらいの類人猿の家族には双子の姉妹がいて、よく泣く方がヒトになり、泣かない方がチンパンジーになったのでは?と想像してしまう。
現実的なメリットは泣くことはストレス発散になる。顔面神経が振ったタクトで涙が頬を伝う時は副交感神経が優位になっている。泣いた後、すっきりした経験は多くの人にあるのではないだろうか。
今日は休日、久しぶりに過去一度も泣かずに見終わったことがない「ツッパリ生徒と泣き虫先生」のDVDを見てみようか。ラストシーンでは私はむせび泣くだろう。やっぱり、涙は心のずっと奥の方からやって来る。(「情熱の薔薇」より)