院長ブログ
2026.09.09
ノスタルジア
昔に対する甘くもほろ苦い感情をノスタルジアと言う。
ギリシャ語で”帰郷”(nostos)を意味する言葉と”心の痛み”(algos)を意味する言葉を合わせたノスタルジアは、故郷から遠い戦地で戦う兵士を苦しめる病を意味した。当時のノスタルジアは、現在ならばホームシックに相当し、それに罹った兵士は軍を弱体化させるため、望郷の思いにキューを出すような故郷のわらべ歌を演奏することなどは死刑だったそうだ。この言葉が誕生したのがスイスだったから、作者がストーリーに入れたのか”アルプスの少女ハイジ”では、アルプスの夕焼けの絵を見てから、夢遊病になるほどのホームシックになってしまう。
しかし今は、ハイジが患ったような健康を害する意味ではなく、ちょっと前の時間を懐かしむ程度の軽いノスタルジアが巷にあふれている気がする。例えば映像コンテンツ、来月からフジテレビでは”救急病棟24時”が始まる。テーマは「変わりゆく時代の中で失ってはいけないもの」だそうだ。ハリウッドでもディズニーアニメが”白雪姫”だの”人魚姫”→”リトルマーメード”、まあここまでは許せるとしても、パラマウント社の”危険な情事”のリメイクはニーズはあるか?「変わりゆく時代の中で失ってもいいもの」のような内容だと思うが。それでもパラマウント社のマーケティング会議で”危険な情事のリメイク”が通ったのは、ノスタルジアと言う感情の一部=”懐かしい”は強烈な意思決定因子だからだと思う。
人は既知の物には安心し、未知の物には多少なりとも警戒心を抱くので、新しい商品に比べて懐かしい商品は圧倒的に購入ハードルが低い。それに今後どうなるかわからない未来への投資より、思い出の反芻は確実に楽しめる娯楽だ。
前回のブログで「聖子ちゃんのコンサート行きたい」と書いたら、スタッフが今年のコンサート情報、リセールチケットの買い方を懇切丁寧に教えてくれ、9/20の大阪城公演に参加することになってしまった。にわかファンが恥ずかしいが、誰だって復刻版とかに心が躍るだろう。
それにしても思い出は無料だけど、それを刺激する商品には値札が付いているなあ。