院長ブログ

2026.08.19

免疫を育てよう

国にとって防衛が大切なように、身体にとっての防衛=免疫も大切なシステムだ。免疫をめぐる最終回は真面目に免疫を鍛える方法を考えてみたい。
免疫活動が盛んな場所はどこだと思うだろうか?これも国防が国境を重点的に守ることを考えれば答えは出てこよう。それは外界と接する場所で、耳鼻科医なので一番は鼻やのど!を推したいが、一番は腸管である。腸管は食べ物という大量の異物やそれにくっついてくる微生物が入ってくるので、多くの免疫細胞が集う場所となっている。
腸管には私たちに恩恵を与えてくれる腸内細菌も住む。何を食べるかで腸内細菌の割合も簡単に変化するような流動的な環境にあって、何が守るもので、何を攻撃すべきなのかを学習し調整する場が腸管なのだ。サーモンとサルモネラ菌は見分けて欲しいではないか。
免疫システムは腸内の多種多様な微生物たち(腸内マイクロバイオーム)を維持するために、それらとコミュニケーションをとって調整している。前回までの免疫シリーズでイメージできると思うが、ともすると攻撃に偏りがちな免疫反応を調整をしているのが”制御性T細胞”で、これを発見した坂口氏は昨年ノーベル賞を受賞した。ゾンビ映画では調整役なんていないので、坂口氏の業績をここで披露させていただいた。この研究は、関節リウマチなどの自己免疫疾患(自分で自分の身体を攻撃する病気)やがん、アレルギーなどに新しい治療を生み出すと期待されている。
ということから免疫を鍛えるためには、まず腸活にいそしむのが良いということになる。現在は完璧な腸マイクロバイオームの組成はわからないとしても、健康な人に見られる共通点が”多様性に富む腸マイクロバイオーム持っている”ということはわかっている。多様性に富むには、いろいろな物を食べるしかない。具体的には、腸の中をガーデニングするイメージで、種をまくように発酵食品を取り、肥料を与えるように植物由来の食べ物を週に30種類以上食べることが勧められている。

(16種類入っています)

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で「脳は常に先回りして予測し、予測と現実の差を埋めながら世界を理解している」と言う考えを紹介した。脳が予測することと、実際の感覚のフィードバックから経験は生まれる。脳の予測は不確実性を減らすためにある。長い人生で不確実性を減らすには、実際に世界を経験することが大事だろう。心でも体でも健康な状態は、安定していることと、不安定からの回復の二方向から示される。食事だけでなく多様な経験をすること、つまり”遊ぶこと”は健康な心と体を育んでくれるはずだ。
夏休みに富山の実家に帰り、その周りを散歩すると子供の頃に遊んだ記憶がよみがえった。ただそこはもう子供の頃のようなあぜ道ではなく、コンクリートの舗装道路だった。病院という定点で15年子供たちを観察していると、心の免疫力の低い子が多くなった、と感じる。伊豆医療福祉センターの小児発達では患者さんの持ち時間は5分でタイマーが鳴ったら出ていかなければならないそうだ。そんな世の中になった一因に遊ぶ場所の少なさは挙げられないだろうか?
そして自分の免疫力、健康のためにも遊ぶことは必要だ。だから私はゾンビ映画を見る。