院長ブログ

2015.03.15

三月十四日

英語で「14 March」としようが、イタリア語で「il 14 marzo」としようが、「3月14日」と書けば、

富山県民ならそれが北陸新幹線開業の日であることは、説明の要もないくらいの常識になっている。

富山史でも屈指の劇的な一日、ということだ。

すいません、塩野七生さん。”ローマ人の物語”第Ⅴ巻、”3月15日”の章の冒頭をパクりました。

ローマ人の物語で前半の主役カエサル(英語よみではシーザー)が暗殺された3月15日についての

この文章を、新幹線開業の日の表現として、塩野七生さんへのリスペクトを込めて”本歌取り”させていただきました。

そして写真は患者さんから頂いた、開業記念バッチです。

これが、北陸新幹線をデザインしていると気が付いたとき、ちょっと言葉に詰まってしまって、

十分なお礼を言えませんでした。お母様がブログを読んでらっしゃるとのことなので、

この場を借りてお礼を言わせていただきます。

「おばちゃんをこんなに喜ばせるなんて、末恐ろしいモテ男君になることでしょう。ありがとうございました」

新幹線バッヂ

さて、私が初めて”北陸新幹線”の文字を見たのは小学校の社会科の教科書で、

「北陸新幹線の着工が待たれる」という一文が載っていた。時代は1970年代。

1980年代に入るとお隣の新潟県に上越新幹線が開業し、

中学生になった私も大人になったら北陸新幹線で上京するものだとぼんやり考えていた。

田中角栄がロッキード事件で失脚し、地元への利益誘導に批判が高まると、なんとなくトーンダウン。

飛行機の値段も下がり東京から1時間で来られるようになると、新幹線?必要?という意見も。

そして20年前の阪神淡路大震災で壊れた山陽新幹線を、数か月で不通を解消したニュースは

必要とされていない事業の悲哀を感じさせてくれたっけ。

社会科の教科書で見た日から36年。10歳の小学生が、おばちゃんに至るたっぷりとした時間を思い出しながら

朝の開業ニュースを見ていると、いくつもいくつもの見慣れた景色と新幹線がTVから映し出されていてーーー

どうやら三月十四日の花粉は特別目に染みるらしい。青と金色の車体が歪んで見えた。