院長ブログ
2026.03.13
アニバーサリー
MI(ミッションインポッシブル)-1のクライマックスでは、ジャンレノ(代表作レオン)扮するワル役がヘリコプターを操作して回転するプロペラを剣のようにトム・クルーズに突き付けるシーンがある。私が介護認定審査会の資料を読んでいると、否が応でもこのシーンが頭に浮かんでくる。
審査会の資料にある黄金パターンはこうだ。「高齢女性で圧迫骨折で入院。動けないことをきっかけに物忘れがひどくなり自宅には戻れず施設へ。介護が必要となり申請」今回の資料でも申請した女性の70%は骨粗しょう症からの椎体骨折や変形性関節症などの動けなくなる病気を抱えていた。それまで自分のことは自分でやれたのに、「介護度4、期間36か月」と人生最後の数年を健康度が低く、人にお世話してもらう生活に、私はなりたくはない。この”老いての骨折は自立して生活することを奪う”という事実が、自分に突き付けられている気がするのだ。
さて骨粗しょう症は骨がスカスカになり強度が落ちる病気と言うことを考えると、骨折は骨粗しょう症の始まりではなくて最終到達点と言える。こうなる前に、何とか気が付けないものか?実はできるのである。それも耳鼻科の病気で。
頭位性めまいは耳石が崩れて、半規管に迷入することが大きな原因だ(過去のブログ)。耳石がカルシウムの結晶なので、骨粗しょう症が起れば、当然頭位性めまいを発症しやすくなる。それが証拠に、頭位性めまいと診断する人のほとんどが更年期過ぎの女性だ。女性ホルモンは骨の強度を維持しようと働いてくれるので、生理がある間は骨は丈夫でいられる。自然は非情なところもあって、生殖できない骨格の維持には無駄な手を貸さないのだ。
更年期という始発駅から骨折列車は発進する。乗っている本人は知らないままで。”男だから大丈夫”は通じない。年を経た夫婦は運命共同体だ。妻が骨折すれば介護は当然夫に比重がかかる。男性は骨折列車に引かれている貨物車くらいに思おう。
骨折列車はあるものは鈍行であるものは快速だろう。きっと頭位性めまいはこの列車の存在を自分に告げる病気なのだ。なってしまえば、なぜ骨がスカスカになるまでに気が付かないでいたの、と思うだろう。めまいの辛い日々は骨粗しょう症の予防(運動と食事)を始めようねと言う意味がある。ひたむきに骨を丈夫にするように頑張ればめまいも優しい昨日になる。青春が終わって更年期にいる、骨折列車を知る、頭位性めまいになった日は記念日(アニバーサリー)~ではないか!