院長ブログ

2024.04.17

フラガール

2007年の日本アカデミー賞・最優秀作品賞はご存じだろうか?「フラガール」である。
では本家、アメリカのアカデミー賞の作品賞は?ディカプリオ、ジャックニコルソンなどが出ている大作の「ディパーテッド」だった。
この二つの映画を並べてみて、唐突にナンシー関さんのコラムを思い出した。
昔「タイタニック」が初めて地上波でフジテレビで放映される!しかも編集は監督ジェームスキャメロン!という一大イベント的な雰囲気のさなかに、裏番組の日本テレビが「借王(シャッキング)」をぶつけてきた時のことである。
『「タイタニック」に対して「借王」というマッチメイクは唯一無二のカードではなかったろうか?この際勝ち負けは問わない。そこに戦う意志があっただけで立派である。(中略)どっちがおもしろかったとか、いい映画なのかとかそんなことはいいのである。「タイタニック」の裏で「借王」というこのテレビ欄に心躍った』
私の好きなコラムではあったが、マネして並べた割には「フラガール」と「ディパーテッド」では共通点がない。
話を戻し。ここで、「フラガール」のあらすじを説明しよう。
明治では黒いダイヤだった石炭も石油の時代になり、昭和40年ごろはそれを掘る炭鉱産業は斜陽をむかえていた。
常磐炭鉱もその一つで、炭鉱業から観光業へと生き残りをかけた産業キャラ変を試みる。石炭を掘るときに沸く温泉を利用できないかとハワイアンセンターを開設しようとするのだった。
産業が変われば、中にいる人も変わらなければならない。女は支える側、脇役からから主役のダンサーとして。男は産業の主役から、女性を支える脇役としてへ。しかし変われない者はどの時代もいる。その者たちの偏見に抗い、開業の日、常磐炭鉱の娘たちは練習を積み重ねた鮮やかなダンスを披露するのだった。
こう書いていると、「フラガール」と並べるのは「フラガール」が受賞するより30年前、1977年の本家の作品賞を置いて他にないことに気が付いた。「ロッキー」だ。
やさぐれた三流ボクサーのロッキーは世界チャンプのアポロと試合をすることになる。過酷なトレーニングを積み”最後のゴングが鳴っても立っていられたら、ゴロツキじゃないと証明できる”と愛するエイドリアンに誓い、人生を変えようとする。そのロッキーをアポロは容赦なく打ち付ける。セコンドはダウンしたロッキーに「もう立つな」というが、不屈の精神でロッキーは立ち上がり、最終のゴングが鳴ってもリングに立っていたのだった。
アポロのパンチは「フラガール」では同じ炭坑仲間からの妨害にあたる。いつの時代も変われない者の方がもっともらしいことを言い偏見を盾に邪魔するのだ。
私がこの2つが同じ様な映画に思えるのは、どれも”再生”を描いているからだろう。
「フラガール」は常磐炭鉱をもつ地域、そこに生きる人の再生を、「ロッキー」はクズのような生き方からのそれを。
ロッキーのラスト「エイドリア~ン」で泣ける人は「フラガール」のラスト、タヒチアンダンスでも必ず泣けるので是非ご鑑賞を。

さて、このブログで私が最も伝えたかった事に入ろう。
「お休みをとって、ハワイアンリゾートに行ってきました」ということで。

ま、私たちも休み明けから再生!と。おあとがよろしいようで。。。