院長ブログ

2023.10.28

歯と鼻

ギリシャ神話に出てくる英雄アキレウスは、人間界の王様と女神との間にできた今でいうハーフ(ダブル)の子供で、人間界で生きていく我が子を不憫(?)に思った母親が「不死身にしよう!」と産湯として、神の国の川(日本でいえば三途の川)に浸した。女神にとっては初産だったのだろうか?赤ん坊のアキレウスの足首をもってドボンと川の水につけ込んだから、その部分だけが川の水に触れず、不死身の英雄アキレウスの唯一の弱点となってしまった。
踵の骨と腓腹筋を結ぶ腱をアキレス腱とよび、また強い人間の急所、弱点をアキレス腱と表現するのは、この神話に由来している。
と、いうわけで、私のアキレス腱は”歯”です。ややこしいか?この秋も前歯がうずいたので歯医者さんに駆け込みましたよ。そして歯が痛むたびに「歯を丈夫にして欲しかった」と考えるのであるが、この歯ほど年代によって差があるものもない。
今の20代以下は、母親が我が子の”歯を川に浸した”のか!と思えるほど、きれいな歯をしている。彼らは子供時代から虫歯菌対策、フッ素、歯並びを矯正、と私から見たら”歯を川に浸した”ような環境だものね。私のような50代以上は虫歯の治療をした後の銀歯が多い。今回の私の痛みも40年ほど前に治療した歯の経年劣化が原因だった。
さて、歯と鼻(上顎洞)は隣り合わせで、2つの境界は上顎骨となる。
中高年が「片方の鼻がずっと調子が悪い」という訴えで受診されると、私は「歯が悪いのではないか?」と疑う。レントゲンを撮ると。。。

上顎骨が溶けてその炎症が上顎洞内に広がっていた。この症例では歯を2本を失う代わりに鼻の症状はとれた。
次に2年間鼻がくさい。という20代の若者が来た。歯槽膿漏の年でもないし、根治療を受けた形跡も無い。第一あまり歯を痛がらない。けれど鼻の中はどう見ても歯が怪しい。歯科に紹介したら、この奥歯が虫歯でそこから”膿が出て来た”とのことで歯を治療すれば2年越しの鼻のくささから解放されるだろう。
アキレウスはトロイア戦争で大活躍だったが、暴虐非道(死体を引きずり回すなど)が目に余りアポロンに急所のアキレス腱を矢で射抜かれ死んでしまう。私の歯は掃除して詰めるだけで事なきを得たが、歯のメンテナンスを怠るような非道の限りを尽くすと歯は抜かれてしまうだろう。
まあ、大事にしましょうということで、久しぶりに病気の話を書いてみました。