院長ブログ

2023.01.18

鼻呼吸のススメ

今回はこのブログを読む前に1分でいいので鼻をつまみ口呼吸をしてみて欲しい。
1分経ったら今度は鼻で呼吸してみよう。さて今何が起こっているだろうか?
空気が鼻に入るとまず鼻甲介や鼻中隔が作る鼻道を通る。
写真でみてもらうとわかるが、鼻道は案外狭い。
鼻道が広すぎると気流が乱れ、かえって鼻詰まりを感じる。
ちょうど運動場に散らばっている園児らを部屋に戻すときを想像してみる。何もしないままだと入口で園児たちはごった返すが、一人か二人だけ通れる狭い通路を設定すると自然にしかも整然と並ぶだろう。それと似ていないだろうか?
さて、空気がこの狭い鼻道を時速8キロほどで移動する間に、表面の粘液が空気内の粉塵、細菌などの汚染物質を取り除いてくれる。と同時に、空気を温め、加湿までしてくれる。例えば外気温6℃の空気を吸うと、鼻の奥に達する頃には30℃に、肺に達する頃には体温と同じ37℃くらいになる。鼻は、まさに自分専用の空気清浄機と言えるだろう。

そしてこの絵は何に見えるだろうか?
これは肺の構造を逆さにしたもので、私は木にとてもよく似ていると思った。
太い木の幹が気管で、左右二つに分かれているのが気管支で、そこから枝が細く分かれているところが細気管支。肺胞は描かれてはいないけど、枝の先に葉っぱを描くように書くとそれが肺胞になる。
肺胞は二酸化炭素と酸素を交換している場所だ。木が葉っぱで二酸化炭素を吸い酸素を吐き出す(光合成)、私たち動物がその酸素を吸い二酸化炭素を吐いていることを考えると、木と人間の肺がそっくりなことはとても面白い偶然に思える。
ついでに木や森を見ると落ち着くように、深呼吸をすると人も落ち着く。
ただ落ち着くためには副交感神経がたくさん分布されている肺の下葉(図では上の方)を膨らませなければならず、それには鼻から呼吸しなければならない。
落ち着こうと思って口から大きく空気を取り込んでも口呼吸では肺の上葉に入りやすく、そこは交感神経が多く分布されているので体はむしろ興奮してかえって落ち着かなくなる。
予防接種の前に緊張して口でハアハアと呼吸している子がいたので、鼻で呼吸するように促してみた。吸う息より吐く息を多くして。食べ過ぎも体に悪いが、吸い過ぎも体に悪い(過換気症候群)。
いやいや、そんなこと言われなくてもさっきのたった1分間口呼吸しただけで、のどはヒリヒリ、
口が乾くので潤すためにしょっちゅう唾液を飲まねばならず忙しい。呼吸することにこんなに努力がいるなんて。鼻呼吸の良さを実感したはずだ。
気道を木に見立てると、鼻は根に相当する。

外は寒くて乾燥し気道には受難な時期の冬だが、私の空気清浄機と乗り切ろうと思う。