院長ブログ

2021.09.05

原因と結果

コロナ禍での耳鼻科診療について全国参加できるSNSのページがあります。
特に都内では1日10人以下の陽性者だと、少なく感じるような第5波の状況で、
そこから得たコロナ患者さんやのちょっとした傾向やデルタ株の検査の特徴など、
参考にすることが多い集まりです。
さて、その中の意見で「第5波の感染拡大はオリンピックが原因」という意見がありましたので

それについてちょっと考えてみました。
これは東京都の新規感染者数です。

               東京都の発生状況(新規)

これを見ると、6月の中旬から感染者数は増加し8中旬をピークに減少しています。
オリンピックは7/23~8/8まで開催されました。
 
オリンピック関係者の来日が開催の1か月くらい前から始まり人出が増え感染が拡大した。
閉会式の8/8が人出のピークで、コロナ発症までは5日前後の潜伏期間があるので、
8月の中旬が感染のピークとなった。グラフで見るとピッタリ。
これはオリンピックは感染拡大の原因だね。。。とはならないのが科学の世界のようで、


これはハリウッド俳優ニコラスケイジの年間映画出演本数とプールの溺死者のグラフです。
これで見るとグラフの波は一致していますが、溺死者の多い少ないはニコラスケイジのせいだ!
と考える人はいないと思います。この二つは全くの偶然による見せかけの一致です。
2つの物事の関係がただの見せかけか、原因と結果なのかはどうしたらわかるのだろうか?
仮にオリンピックを開かなかったらどうなっていたのだろう?という逆を調べればいいらしい。
そうだ!オリンピックがなかった国はどうだろう?
ということで、下のグラフはアメリカと日本の新規感染者を同じ日付で並べてみました。



オリンピックが開催されていないアメリカも同じような傾向の波です。
世界の動向を見ても同じように8月にピークを迎えている国が多いので、
オリンピックと感染拡大は原因と結果の関係にはないのではないか
というのが今のところの私の考えです。

感染拡大はオリンピックのせい。とすると、”おさまり”が良いのかもしれません。
そして身近にあるいろんなことを”おさまり”のよい何かのせいにすると楽だな~と思います。
けれど、思い込みは思考を蔦がからまるように停止させてしまう。
物事を客観的に見て、思い込みから自由になることは、私自身の当面の目標です。
けどついつい、占いは信じてしまうんだよなぁ~