院長ブログ

2018.07.16

10代の脳

8年目にもなると子育て経験のない私でも不思議に思うことも出てくる。
「将来なんになるの?」の問いに小学生の時は「サッカー選手になる!」と答えてくれたのと同じ口で
同じ質問に中学生になると「神」と無表情に答えるのはなぜだろう?
「お父さん、お父さん」と言っていた優しい顔の女の子が、中学生になるや
「うっざい、あっち行ってて」と怒るのはなぜだろう?
行動だけではなく、中学生になると小学生に時とは全く違った”眼”になる子もいる。
大人の私から観てロクでもない事を考えていそうな”眼”に。
小学校まで順調に体も心も成長してきたのに、分別が利かないまるでニキビヅラしたイヤイヤ期のようなのが中学生だ。
図書館を回遊しているとその疑問に答えてくれそうな本を見つけたので読んでみた。
脳細胞は子供の頃にぎゅーんと成長し、その後はなだらかに20歳ごろまで進み、
その後退化すると考えられていたが、どうもそうでは無いらしい。

前頭葉の作り直しと脳の各所とのつながり。
前頭葉は理性的に物事を考える働きがある。簡単に言うと、ゲームばかりして怒られたとき
「うるせーババア!」と母親に向かって言いたくなる衝動を抑える場所です。
10代に入ると前頭葉の脳細胞の枝が増える。つまりいろんなところと連携し始める。
連携もより強固になっていくらしい。
今までの脳から最終形態になるために、もう一度大人仕様に作り直されるのだ。
同じことが2歳児ごろにも起こるので、脳がびっくりするくらい変わる時期と、
子供の行動がびっくりするほど変わる時期が一致するのは偶然ではないのだろう。
作り直された前頭葉は感情担当の場所としっかりつながっているから、
「ごみ出して」と言われても、「ちっえ!」と舌打ちして玄関のドアを蹴ることも無くなるらしい。
成長しているということは脆弱で、脆弱ゆえに情熱的で、吸収も早いのだ。
脳科学から見ると、10代の狂気は生まれたときから予定されたものであるらしい。
もう数年もすると10代を抜け、聡明で理知的な眼になるのだろう。
その瞬間を見るのが楽しみでもある。