院長ブログ

2025.07.09

ポッシブルな世界

前回のブログでバレバレだが、私はすっかりChatGPTにはまっている。
これまでもAIに結婚式の祝辞を作らせようとしてみたことはある。とても人前に出せる内容ではなく、AIの出来にがっかりしつつも、やっぱり私じゃなきゃダメかぁ~と安心もしていた。
ところが前回載せたように、著作権を侵害しない程度のイラストなどもお手の物だ。ブログのイラストの発注先である看護師さんはChatGPTに職を奪われたと言える。
かなり考えさせられたので朝礼でAI時代に必要とされる人間を考えよう!と一説ぶってみた。例によって私のメンバーは一切関知しないようだったが。
と、言うわけで「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」を鑑賞してきた。前作の「デッド・レコニング」からは2年経ち今作と併せて一つのストーリーで、敵は”エンティティ”という自我を持ったAIだ。世界を掌握するためにニュースや画像を改ざんするなんてお手のもの。例えばトランプのLINEにプーチンが核爆弾を押そうとしている画像も送れちゃうのである。
エンティティが医学の世界に入り込んで来たらどうなるのか?病気を正しく診断することが医者の仕事として必要不可欠だから、最近の知見、論文に触れ常にアップデートしている医学版エンティティはもう完璧だ。先週届いた学会誌をまだ明けていない私は穴を掘って入らねばなるまい。
診断し治療法を勧める段階になっても、患者の情報、生まれてからの既往歴、薬、健康診断の結果、また自分の遺伝子情報などにもアクセスできそれこそ最善の治療法を提供してくれる。そしてエンティティは疲れない。腹も減らない。働き改革何ぞクソくらえ!で24時間365日疲れも病気も知らずに診察してくれる。もう診察室の椅子に座っているのはエンティティでよろしい。私はエンティティが指示する耳そうじを傍らでやっているよ。
とまあ全知全能の神のようなエンティティと決着するのが「ファイナル・レコニング」。(以下ネタバレあり)
AIだけなら電源切ればこっちの勝ちだが、そこは神をあがめる思考停止の人間がエンティティ側についているのでややこしい。さらに世界をコントロールしたい大国の思惑も絡み、イーサン(トム・クルーズ)にはチーム以外に味方がない。と、ストーリーを書き出してみたがとにかく”細かいこと言うな!”だ。
新しい発想を促す”ブレインストーミング”という手法がある。制限を設けず、思いつくままに脳を走らせ、アイデアを出させる方法だ。「デッド&ファイナル・レコニング」の企画会議ではきっとこうやってアイデアを出したんだろうな、そして全部採用しちゃったんだろうな。と思わせるてんこ盛りのアクションだった。これ、文系のまとめ役はいなかったのか!?
トムはアクションシーンから撮影し、それらをくっつけるためにストーリーを考えるという。だから時間ないのに減圧チャンバーでイチャついていいの?とか、パラシュート爆発したのにどうやって助かったの?とか、細かいことは無用だ。トムのアップとアクションでなんとかなるさ。
また、「ファイナル」と銘打っているだけあって今までのシリーズの集大成でもある。これでもかと過去作品を出してきた。「おはようフェルプス君」でおなじみ(?)の1作目の裏切り者ジム・フェルプスの息子やイーサンがノックリストを金庫から奪ったせいでアラスカに飛ばされたダンローなど。しまいにはエンティティが誕生した原因は3作目のイーサンにあると来たもんだ。私がイーサンだったらへこむわ。
そして過去作品だけではない。戦闘機のシーンでは「トップガン」や「マーヴェリック」を、潜水シーンでは「アビス」を、ルーサーの遺言では「ショーシャンクーの空に」、大統領の苦悩では「エアーフォースワン」か?「インデペンデンスディ」か!「アラジン」も入っていたぞ!いろいろな映画が入った混ぜご飯を食べている感じ。でも具が多すぎて肝心のコメが少ないわ。私にとって、一作目で見られたようなテーマ曲をバックにアクションとスパイ道具でスカッと終わるような感じがコメなのよ。大体テーマ曲流れていたっけ?いたとしても短調ちっくで覚えていないな。コメ不足よ。
最後に、「これはメッセージ?」と思わずにはいられないシーンがあった。それはエンティティ信者がイーサンの行く手を邪魔しようとして襲い掛かる場面だ。それまでの格闘シーンではセリフなどなかったのに、そのシーンだけイーサンが言葉を吐く。殴りながら放ったその言葉はきっと観客へのトム・クルーズからのメッセージだ。
「ネットの見過ぎなんだよ!」