院長ブログ

2023.10.07

休診の理由(わけ)

「新郎新婦のお二人に今日は心よりのお喜びを申し上げます。このような晴れやかな席で新婦の話ができることは大変な光栄であり、その機会をありがとうございます。
私は沼津で耳鼻科を開業していて、彼女が働いてからは5年になります。
私たちの病院は朝礼から始まります。みんなが整列する頃に彼女は病院に到着します。もう誰もいなくなったスタッフルームで着替え、ロッカーを閉める音がバタンと響くやいなや、まるでソフトボールをしているように朝礼に滑り込んでくる、これが彼女のよくある朝です。次に昼休みを紹介しましょう。他のスタッフよりひと際大きい「ガハガハ」という笑い声が聞こえたならそれが彼女の昼の音です。
さて、二つのエピソードを話してみましたが、まだまだ本当の彼女を表現できていない気がしています。今日のこのスピーチのために、彼女の本当の価値とは何だろうと考えていた先日、早番を忘れてぎりぎりの時間になって連絡してくる、と言うことが起りました。「またか」と、私が怒って病院で待ち構えていると、全身でゴメンナサイを醸し出して言い訳もせず謝ってくるんですね。それを見ていると、怒っていることが馬鹿らしくすら思えてきました。ありのままで飾り気のない心をもつ彼女は、清涼剤というか緩和剤と言うか、張り詰めた空気を穏やかなものに変えてくれます。これこそが、彼女が持つ本当の価値ではないでしょうか。だから彼女の力は周りが困っている時に一番発揮されます。病院が一番困っていたのは3年前のコロナで緊急事態宣言が出た後でした。それまで待ち合いにあふれていた患者さんが全く来院されず、ガラガラの病院になりました。やることもなく、落ち込んでいると彼女が「ねぇ先生、みんなでトランプしようよ」と提案してくるではありませんか、内心「え~」とは思ったものの、やることがないので、スタッフみんなと毎日7並べや、ババ抜きをやっていました。やってみると、案外楽しいんですね。彼女の「トランプしようよ」という声は、あの頃の記憶を辛かったというより、みんなで楽しんだという温かい思い出に変えてくれました。
そう、彼女の名前は”てん”の”おと”と書きます。彼女の声はその名前の意味通りに、すさんでいた私の心に響き、思い出を一変させてくれました。まさに”てんのおと”でした。この場を借りて、新婦と25年前は赤ちゃんだった彼女に素敵な名前を付けられたお母さんに感謝したいと思います。
最後に、”てんのおと”にはかわいい”つきのおと”が加わりました。新郎と3人、今までもそうですが、これからも幸せな音を奏でていってください。
以上をお祝いの言葉とさせていただきます。」
(一部改変した)