院長ブログ

2022.01.30

緊張の緩和

子どもの頃からそそっかしかった。
そそっかし者の常として忘れ物が多かった。
小学校1年生の時、学期の終わりに違う学校に転任する先生が、
クラスのいろいろな一番を発表する。という時間があった。
何で呼ばれるのかワクワクして待っていると、私の名前が呼ばれた。
先生はまだ7歳の私を前向きに膝に座らせ、みんなから見えるようにすると
「釣田さんは忘れ物の女王様です」と発表された。。。
その日から今に至るまで、他の女王様にはなっていない。
6年生の時の生徒会長選では、演説大会を放送委員だったので放送室で見ていた。
いくつかの候補の演説の後、同じクラスの子の順番になったので
「ちょっとボリューム大きくしてよ」と言ったら、
放送室のマイクがONになっていて全校生徒にその声が流れてしまった。
私の姑息な不正が露呈したせいか、その子は生徒会長に落選してしまった。
悪いことをしたな、と思った。

そそっかしさがコインの裏面であるなら、表面は笑いになるのではないだろうか?
笑うためには自律神経のバランスで、交感神経優位(緊張している時など)が副交感神経優位(リラックスしている時)になる必要があるという。
よく前説とかが「場を温める」というが、これも副交感神経優位にするためなのだろう。
また、M1グランプリで一番手は決勝に残れないというのも、番組が始まったばかりでは見る方も緊張して交感神経優位になっているからだろう。
これを「緊張の緩和」と分析して、お笑い理論でよく挙げられている。
緊張状態と言えば、発熱外来を行っているうちの病院はギンギンの緊張状態かもしれない。
が、そこに笑いが落ちている。
先週「1月初めに微熱が出て、そこからずっとのどが変なんです。コロナかと思って心配で受診しました」という老齢のご婦人が来院された。
心配のためか、とても苦悶した表情で「私がコロナだったら、一体どうなってしまうのでしょうか?」と聞かれたので、
「もう自宅療養期間も過ぎているので、何も変わりませんよ。」と答えたら、しばらくの間がありその患者さんが上品に笑った。
私に”笑いを取りに行こう”という性質があってよかった。
少しのそそっかしさは、自分に迷惑ぐらいならよしとしよう。