院長ブログ

2021.01.24

気分よく過ごすために(3)

 単細胞生物は「エサ(快)に近づく、毒(苦)から遠ざかる」
という単純なパターンに従って動いているという。
何十兆個の細胞からなる人間の基本設定も「快を求め、苦を避ける」だと思う。
だから、意識しようとしまいと、嫌な気分の時は気分を上げるよう行動する。
ここで人が良くとる気分調節について紹介しよう。
色々あるが大体は6つの方向に分けられるという。

1.気分と向き合う積極的な気分転換
運動する、リラクゼーション、考え方を変えようとする
2.好きなことで気分を変えようとする
音楽を聴く、お笑いを見る、外出する、趣味
3.つながること、感情を出すことで気分を変えようとする
誰かと会う、SNS、泣く
4.受け身的な気分転換
TVを見る、眠る、食べる、買い物 
5.孤独になることで気分転換
一人でいたい、嫌な気分の原因を避ける
6.すぐ効果の出るもので気分転換
薬物、アルコールなど

気分調節をした自分を分析した人も、気分転換できたか他人の目で見るセラピストも
有効な方法は1と2で、最も効果のないのは6という評価は共通していました。
個別では”運動する”が最も効果的で次に”音楽”、
3位が”誰かと会う”がポイントが高かったそうです。
ちょうど、そろそろブログを書かなければと思っていたころに
来院した患者さんと気分転換について話をしていた時に、
「病気の関係で運動もできなく、趣味もない」暗めにおっしゃっていたので
「久しぶりに友達と話するっていうのは?どう?」と提案したら
「そういえば、コロナのことで友達と話すってことを忘れていました。
私、そうやって友達と話すことが大好きなんです」
と忘れていたものを取り戻した笑顔がでた。
この会話ができただけでも、この本「毎日気分よく過ごすために」を買った価値はあったろう。
この患者さんのように、誰もが運動できるわけでもないし、音楽が好きなわけでもない。
ただ2の”好きなこと”は誰でもあるのではないでしょうか?
良い悪いは間違えやすいけど、好きは間違えようがないしね。

それでも、男女の違い、内向的ー外向的な性格差、年齢によっても気分の調節法は違う。
大事なのは自分に合った調整法を知ることだろう。
そのためには自分の状態を知ることは大切なことのように思える。
イライラの原因は相手や起こった出来事だけなく自分の内側にあるのなら、
内側を知ることは、ガイドをもって探検するようなものだろう。
けれどこの”気づきへと至る道”は厳しく、
生涯をかけて気づけるかどうか、というくらい難しく私には思える。
なぜなら、みんなそれぞれに頭の上にカードを乗っけていて、
他人のは見えるけど自分のは見えない。自分のカードは他人にはよく見える。
そんなようなものが自分の内面である気がするから。。。
自分の内面を知る=メタ認知。
これについても、ニーズがあればいつかブログに書いてみたいと思っています。

そんなこんなで、800円くらいで中古で買ったこの本は
今はアマゾンで5000円くらいから売られています。
それを考えると、私はとても気分が良くなります。

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