院長ブログ

2021.10.03

食欲について

こっそりと偏った食事を続けてもらった後、
自由に食事を選べるビュッフェに誘導する。
多くの食事からそいつが選んだのは、
偏った食事には抜けていた必要な栄養が含まれるエサだった。。。
そう、そいつとはマウスのことでで、必須栄養を一つだけ抜いたエサを与える。
次にいろいろなボトルから自由に水が飲めるようにする。
マウスが選んだのは足りない栄養が入っている水だった。
というのが、私が30年前に聞いた講義の内容です。30年経っても覚えているのは、
動物(マウス)は必要なものを教えられなくてもわかるんだ!と感動したから。
マウスは哺乳類。それより下等な動物はどうだろう?
粘菌はいろんなエサを置いてもタンパク質:炭水化物を2:1で取る。
どうも粘菌が一番成長する比率がタンパク質2炭水化物1の比率だそうだ。
粘菌は好き嫌いせず、自分の体が一番健康になるよう食べる。
粘菌だけでなく、ゴキブリやバッタも何も教えられなくても栄養のバランスをとる。
人間と同じ霊長類ではどうだろう?
動物園のヒヒも与えられたエサから選ぶ食物は1回1回にはバラエティがあるが、
1日のうちではタンパク質:炭水化物:脂肪の比率は同じで、
やっぱり最適な栄養バランスで食べていた。
さて動物はどうやってベストバランスを知り食べるのだろうか?
バッタは低タンパク高炭水化物食を与えた場合、
タンパク質がある一定の量になるまで食べ続けた。
結果、炭水化物を余計に食べることになり肥満バッタになった。
反対に高タンパク低炭水化物食を与えた場合は早々に目標タンパク質量に達するので、
食事の量は減り、痩せて成長が悪いバッタになった。
どうやら動物はタンパク質優先で食欲が決まるらしい。
そして、人間にもそれは備わっている。

人間をスーパーマーケットから離れたところで隔離し、
いろいろなタンパク質比率を変えたメニューから好きなものを食べられる場合、
ほぼ全員がタンパク質比率15%になるように食事をとる。
動物によって違うが、(ネコ52%、イヌ30%前後)
ある程度のタンパク質をとると満足するように体はなっている。
タンパク質が足りないと、その不足を埋めようと炭水化物(&脂肪)をとるようになり、
その結果、摂取カロリーが多くなり肥満へと進む。
食欲とは”満腹になるまで食べ続ける欲望”ではなく、”体が求める足りない栄養を欲すること”。
その本能に従えば、極端な肥満は避けられそうだ。
けれど、人間という動物が何百万年と暮らしてきた食環境と、現在の食環境は違う。
この炭水化物にあふれた世界で、どうやって食べ物を選べばよいのだろう?

ミルワームはコオロギと比べて脂質が高く、ミネラルが低い。
自分で昆虫(タンパク質)をとれていなかったから、ミルワームで補っていたふう。
私は子供にスナック菓子ばかり与える親だったのかもしれない。反省。