院長ブログ

2012.08.26

熱海の夜

昨日は伊豆耳鼻科懇談会で熱海に出かけて来ました。

講演会の一つに赤木家康先生ご自身の頭頸部癌の闘病記がありました。

赤木先生は整形外科のDRですが、05年に下咽頭癌になり、喉頭(声を出すところ)を摘出し

声を出すことができなくなりました。

手術を行ない、プロボックスという気管と食道で空気を行き来する作用で声を出せるようになり

医師としての業務を普通にこなしていたのですが、

10年から舌癌、食道癌、下咽頭癌の再発、軟口蓋癌と癌を繰り返し発症されています。

現在は肺転移が見つかり、化学療法で発熱もあったと言うことでしたが、

"生きる執念”で講演をしていただきました。

こんなに癌になると、過去の自分を恨んだり、なんで自分だけ?と思いがちですが、

癌になって後悔したことはなく、むしろこんな状態でも外来で患者さんが

自分を必要としてくれて、役に立ってると思うと感謝したくなる。

と、言いきっておられました。(実際にはお話しできないので、ipadを使った筆談ソフトでの講演)

癌は命ある期間もおおよそわかるし、死ぬことに対しても準備できるので、

癌になって良かったとすら思っていると締めくくられ、

私はこんなに強く生きていけるだろうか?生きてきただろうか?と自問させられました。

重い話にもなりましたが、昨日の熱海は”花火大会の日でしたね。

勉強が終った後は、ロープウェイで熱海城のうえに登り、

そこから花火を鑑賞しました。 遮るものが何もなく、熱海の夜景をバックにした花火はすばらしいものでした。

atami.jpg 

花火はみた目も良いけど、音が胸を打ちます。

”夏は夜”と書いた清少納言さんは、花火をみたらなんとおっしゃるでしょうか?

熱海なら”いとをかし”と絶賛されるでしょう。